石見神楽 (島根県伝統芸能) Fukutomi design office  元に戻る TOP画面
島根県西部の石見地方に伝わる神楽で、出雲流里神楽の流れを汲んでいます。明治の頃にテンポを8調子に変えたことから、音と舞
に軽快なリズムが生まれ、大衆に広く親しまれる秋の行事となったそうです。現在一年を通し各地,各国で公演される島根の伝統芸能
の一つになっています。(2005年10月19日 神楽の写真掲載につきましては、営利目的でないということで許可を得ています。)
 
大尾谷社中
平成17年9月 温泉津町今浦恵比須神社 秋の例大祭
 温泉津町今浦 恵比須神社(えびすじんじゃ)  演目:恵比須(えびす)
 演目:八十神(やそがみ)  演目:八十神(やそがみ) [拡大
 演目:天神(てんじん)  演目:天神(てんじん)
 演目:塵輪(じんりん) ビデオ館  演目:塵輪(じんりん)
 演目:大蛇(おろち)  演目:大蛇(おろち) [拡大


旧割元庄屋 美濃地屋敷展示館
2008.05.02 石見神楽展開催中を撮影
 #FK21−71,−72 上:長屋門出入り口, 下:母屋  #FK21−70 長屋門(左:受付・休憩室, 右:勘場)
■ 旧割元庄屋 美濃地屋敷
住所:島根県益田市匹見町(ひきみちょう)道川 イ−50番地
TEL:0856−58−0250
入館:無料、 午前9:00〜午後4:00 月曜休館

 受付でパンフレットをいただいて、長屋門を入ると正面にとても大きな茅葺(入母屋づくり)の母屋がありました。いただいた資料によりますと、庄屋建築からみて大変重要なものであると書かれています。母屋の左手には民俗資料倉があり、1階に農具や民具が展示され、2階に石見神楽に関する物が展示されていました。

注:展示物のインターネット写真掲載に関しましては、許可を得ました。
 #FK21−73 大蛇  #FK21−74 大蛇
 #FK21−87,−77,−88,−79,−85 面  #FK21−75,−78,−76,−80,−86 面
 #FK21−81,−82 衣装  #FK21−83,−84 鎧,小道具

石見神楽について
注:説明文は広辞苑を参考にしました。
 
神楽(かぐら):神を祀るために行われる楽器の演奏や歌舞のこと。大別すると宮廷で行われる音楽や歌をメインとする御神楽(みかぐら)と、民間の里神楽(さとかぐら)に分けられるそうです。
里神楽(さとかぐら):秋の例大祭の神事の一つで、神々の伝説を舞という形で再現したものだそうです。
石見神楽(いわみかぐら):出雲流の里神楽の影響を強く受けた神楽で、明治の頃に2回改革がなされています。舞手が神職から民間の村人になり、六調子から八調子にテンポを速くし、神楽面の材質を和紙に変えて軽快に動ける様にしたそうです。またメイン演目の大蛇の同体を蛇腹にするなど道具や装飾品に工夫を加えたそうです。
 昭和になってからは大阪万博で公演したことから大きな転機が訪れ、その後日本各地,各国で公演される様になったそうです。
 現在、ショーとしての豪華さとエンターテインメント性を求められる中、いかに伝統的神楽を守るかで、色々試行錯誤されているそうです。

例大祭(れいたいさい):神社が年に1,2度日を決めて行う大きな祭りを言い、祭りの内容は神社によってさまざまです。
八調子:? 辞書にありませんでした。
西洋音楽の長調(ハニホヘトイロハ)とか短調に相当するものだそうです。
 
大尾谷社中(おおだにしゃちゅう):島根県浜田市宇野町

■社中(しゃちゅう):雅楽などをする同門の仲間。

■雅楽(ががく):宮廷や寺社で行われる音楽,歌舞。

■十ニ調子,六調子
 十ニ調子(十二律):中国で生まれた楽音で、1オクターブを半音
  間隔で12音に分けたもの。
  十二調子の日本名
  1.壱越調,2.断金調,3.平調,4.勝絶調,5.下無調,6.双調,
  7.ふ鐘調,8.黄鐘調,9.乱鏡調,10.盤渉調,11.神仙調,12.上無
 六調子:平安時代に十ニ調子を六調子に簡略化し、雅楽の
  主要な6つの調子とされる。
  1.壱越調,3.平調,6.双調,8.黄鐘調,10.盤渉調,太食調
■石見神楽の演目(30数種)
 
岩戸(いわと)/天の岩戸(あまのいわと)  「古事記(上巻)」にある天照大御神の岩戸隠れを神楽化したもの。
登場人物 演目内容
天照大御神(あまてらすおおみかみ):高天原(たかまのはら)の主神。太陽神。伊装諾尊(いざなぎのみこと)の娘。素戔嗚尊(すさのおのみこと)が弟という他に、夫という説もあるそうです。確かに弟が悪行を重ねたところで、姉が閉じこもるのも少し変に思います。
天鈿女命(あまのうずめのみこと)=天宇受売命(あまのうずめのみこと):天の岩屋に閉じこもった天照大御神を、踊りで外に誘い出した女神。
天手力男命(あまのたぢからおのみこと):天の岩屋の戸をこじ開けた力持ちの神。
弟(素戔嗚尊)の悪行に怒りアマテラスオオミカミは天の岩屋に閉じこもってしまいました。このことにより地上は真っ暗になり、悪神(あくじん)がはびこり悪事が増えることとなりました。困った八百万(やおよろず)の神々は、協議をして天の岩屋の前で宴会を開き、アマテラスオオミカミが気になって岩戸を開けた時、すかさずこじ開ける策を考えました。
・宴会の席では盛り上げるためにアマノウズメノミコトによる御神楽が舞われ、神々の楽しそうな笑い声が響きます。アマテラスオオミカミはたまらず、岩戸を少し開けて外の様子を見ようとします。計画道理に岩戸が開き、アマノタヂカラオノミコトがこじ開け、神々が説得して外に出てもらえることになります。地上は再び光を取り戻したという物語です。
八十神(やそがみ)
登場人物 演目内容
 
天神(てんじん)
登場人物 演目内容
 
鍾馗(しょうき):誤り>鐘馗
登場人物 演目内容
鍾馗(しょうき):玄宗皇帝(げんそうこうてい)が病にかかってうなされる夢の中で、楊貴妃の宝を盗もうとした鬼を、一飲みで食べてしまった者を、夢から覚めて容姿を書かせた伝説の神。夢から覚めて病が治ったことから、病を祓(はら)う神として信仰されることになりました。
・日本では五月の端午の節句に絵や人形の形で祀られ、病や災難を祓うと信じられています。
・神楽では素戔嗚尊(すさのおのみこと)が唐と呼ばれる時代の大陸に渡り、鍾馗と改名したことになっています。
疫病みの神(えやみのかみ):病を流行らせる神で、疫病神(やくびょうがみ)とも言われます。
・神楽では幅広の白い鬼面を付けた鬼の格好をしています。
小道具:茅の輪(ちのわ),宝剣

神一人と鬼一人のニ人舞。
玄宗皇帝(げんそうこうてい):中国の唐時代の第六代の皇帝。40年以上太平の世を築いたが、晩年は楊貴妃に溺れ、安史の乱を招いた。
茅の輪(ちのわ)写真:太鼓谷稲荷神社:陰暦6月晦日に神に祈願してけがれを清め、災厄を除き去る神事に使われるもので、チガヤまたはワラを束ねて巻いた輪のこと。輪をくぐると病や災いを祓うと言われている。火の輪,鍾馗の輪と呼ばれることもある。神楽で使われるものは二尺(約60cm)の竹の輪に赤,白,青の切り紙を巻いた輪。
チガヤ:イネ科の多年草。根茎は漢方の利尿薬や止血薬。Google画像検索:チガヤ 
旧舞:素戔嗚尊(すさのおのみこと)が唐と呼ばれる時代の大陸に渡り、鍾馗(しょうき)と改名し、病を流行らせる鬼となった疫神を退治する舞です。

調べ中

塵輪(じんりん)  「記紀」にある仲哀天皇の熊襲討伐を良い物語に神楽化したもの。
登場人物 演目内容
仲哀天皇(ちゅうあいてんのう):「記紀」に記される人皇第十四代の天皇,日本武尊(やまとたけるのみこと)の第二子の足仲彦(たらしなかつひこ)が即位して仲哀天皇となる。
高麻呂(たかまろ):仲哀天皇のお供に付いた介添え人。
塵輪(じんりん):色は赤く頭は複数あり、黒雲に乗り、空を飛ぶ翼をもつ鬼神。熊襲(くまそ)を侵略しようとした異国からの侵略者を例えているのだそうです。
小道具:天の鹿児弓(あまのかごゆみ),天の羽矢(あまのはばや)

天皇と介添え人、鬼ニ人の四人舞。
記紀(きき):古事記と日本書紀のこと。
熊襲討伐(くまそとうばつ),熊襲征伐(くまそせいばつ):
・古事記の内容:日本武尊が平定した熊襲が仲哀天皇の代に再び勢い取り戻し、神は熊襲を討つ前に異国の新羅(しらぎ)を討てば熊襲も従うと神託しましたが、仲哀天皇は神にそむき熊襲討伐を決断をし、筑紫に行幸(ぎょうこう)します。神にそむいたことからか、その地で間もなく亡くなります。(神楽の内容とずいぶん違います。)
・神楽化された内容:天照大御神の命を受け、仲哀天皇と介添え高麻呂が率いる兵が、日本の民に悪業を働く塵輪を中心とする異国の数万の兵を、討伐(とうばつ)する物語です。

仲哀天皇と介添え高麻呂が舞い、その後二人の鬼が手から煙を出しながら登場します。互いに名乗りを上げ、一問一答があり、激闘して最後にはわりとあっけなく討伐征伐(せいばつ)されます。
大蛇(おろち)/八岐大蛇(やまたのおろち)  「記紀」にある神物語を神楽化したもの。
登場人物 演目内容
素戔嗚尊(すさのおのみこと)=須佐之男命(すさのおのみこと):力のある乱暴な神で、悪行を重ねたことにより天照大御神の怒りにふれ、高天原を追放の身になり、出雲斐の国を通りすがることになります。
大蛇(おろち):不思議な霊力もち、一つの体に八つの頭と八つのシッポをもち、八つの山を跨(また)ぐ大きな化け物ヘビ。またお酒と若くて美しい女の子が大好き。石見神楽では一匹一匹分かれ、全体は龍の姿をしています。胴体は提灯の蛇腹状で、長さは20mを越えるものがあります。昔大雨が降ると荒れ狂う出雲平野を流れる斐伊川(ひいかわ)のことを大蛇に例えているのだそうです。
お爺さん(足名椎:あしなづち),お婆さん(手名椎:てなづち)
娘(櫛名田比売:くしなだひめ=奇稲田姫:くしなだひめ)
娘8人の中の末娘
小道具:酒樽,草薙剣(くさなぎのつるぎ)
スサノオが出雲の簸の川(ひのかわ)近くを歩いていると、お爺さんとお婆さんが暗く沈み、娘が泣いていました。スサノオは美人の娘が気になり、お爺さんに訳を聞きます。お爺さんは大蛇の大きさや8人いた娘が毎年食べられて今は一人になったこと、今年もただ一人残った末娘が襲われる時期になってしまったことを話します。スサノオは娘に一目惚れしていますから、大蛇を退治して娘を救った時は嫁に欲しいとお爺さんに言います。お爺さん食べられるよりましと思い、承諾します。スサノオは大蛇が女好きの酒好きなことお聞き、毒の入ったお酒を用意するようにお婆さんに言います。酔っ払って寝た所を襲う計画です。
・舞台には酒樽が置かれて娘が近くに立ち、いよいよ火を吐きながら大蛇登場です。一頻り暴れまわった後お酒を飲み、計画通り寝てしまいます。スサノオ静かに登場して、剣でグサリと刺すものと思いきや、体を叩いて起こします。大蛇と格闘し巻き付かれてピンチになりますが、全ての首を切り落とし、勝者に。舞台では切り刻まれることはありませんが、実際の物語では刻まれ、尾の方から草薙剣が出てきます。
・舞台では剣を持って勝者の舞が踊られ、スサノオが求婚して娘が受け入れ、ハッピーエンドで終ります。
スサノオが娘クシナダヒメに求婚する時に読んだ和歌
 「八雲立つ 出雲八重垣 褄隠みに 八重垣つくる その八重垣を」
 (やぐもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを)

◆注意していること
 1.個人の住宅が風景に写った場合、写真全体の0.7%以下としています。(スーパー,店,旅館,民宿,公共施設などは除く)
 2.写真が規制されている名所の場合は、撮影及び掲載可能か確認をして掲載しています。
撮影:又は撮影F:FUJIFILM FinePix−F410, 撮影C:OLYMPUS C−750UZoom, 撮影D:KONIKA MINOLTA DiMAGE−Z3

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