昆虫の電子顕微鏡写真 |
福光村・昆虫記 | ||
写真提供:テクネックス工房 大野さん |
#XP001−0 体長1.5mm前後のハムシ | スケール: 500μm = 500/1000mm = 0.5mm |
#XP002−0 白いロウ物質に覆われた0.6mmの虫 | スケール: 200μm = 200/1000mm = 0.2mm |
#XP001 全体 | #XP001−1 小楯板 |
#XP001−2 鱗毛 | #XP002−1 頭部 |
#XP002−2 虫全体を白く覆った物質を拡大 | #XP002−3 複眼 [拡大] |
撮影に使用された電子顕微鏡は、一般向けに作られたもので、特別な環境を必要としない、超小型サイズの卓上型走査電子顕微鏡です。だれしも一度はミクロ,マクロの世界を直接のぞいて見たいことはあると思います。下記の販売元では企業や学校関連などを主にデモされているそうです。一般の方には幾つかの条件が必要の様です。 ■特徴 ・1umの物の形をモニタ画面に大写しにして観測することができます。 ・光学系で見られるピントの前後がボケる現象が少なく、奥行きが 鮮明で立体的な画像を観測することができます。 ・白黒写真の様な画像データを取り込むため、色はなくなります。 ■仕様(一般向け機種) ・分解能 ・被観測物の条件(どのような物を見ることができるか) 1.金属 2.金属でないものは、表面を薄い金膜で覆う必要があり、 被観測物表面に金を均一に付着させる処理が必要です。 注1.生体は薬品でタンパク質を固め、乾燥させて観測します。 注2.液体など金で覆うことが出来ないものは観測できません。 3.生きた生物など動くものは観測できません。 クマムシは乾燥させれば生きたまま観測できるかも? ・被観測物の大きさの条件 1.被観測物は直径約2cmの円形の台に乗せて観測するため、 2cmを越えることはできません。大きいものは分解したり切断 する必要があります。 2.被観測物の全体を画像枠一杯に取り込もうとすると、被観測 物の大きさは縦横2×3mm以内となります。 本来の使い方である1cm以内の物の一部分を、画像枠一杯に 拡大して観測することは、何の問題もありません。 ・装置全体の大きさ ■写真提供 潟eクネックス工房 大野さん |
■試料台に虫を載せる作業 1.10円玉の大きさの金属台に、虫を固定するための、カーボンを含んだ両面テープを貼り付けます。 2.その金属台を光学顕微鏡に載せます。 3.先の鋭く尖ったピンセットで虫をつかみ、金属台に付いた両面テープに載せ固定します。この貼り付ける作業は大変細かな作業でした。肢や翅を形よく見せるにはそれなりの器用さが必要と思いました。また形良くするためには次の作業が必要です。 ○捕らえた虫を形よくする方法 1.小さな虫は、お弁当に使うマヨネーズ入れで、スポイトの様に吸い込み、傷つけないように捕らえます。 2.冷凍庫にその容器ごと入れ、動かなくします。(1日) 注:半日ぐらい冷凍しても死なない虫もいますのでご注意下さい。 3.解凍時に翅と肢を整え、乾燥させます。 注:小さな虫の翅や肢を整える為には、虫めがねや光学顕微鏡,先の鋭く尖ったピンセットが必要です。 |
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■虫の表面全体を金粉で覆う作業(スパッタリング処理) 1.コーヒーメーカの様に見える装置の黒い蓋(ふた)を開け、虫を固定した試料台を中に入れます。 2.タイマーを3分にセットして、スタート ・1分はチューブ内を真空にする作業だそうです。 ・残り2分で細かい金の粉を金属台全体に吹きかけ、虫の表面にくっ付けるそうです。この処理をスパッタリング処理というそうです。 ・完成したものは薄い金メッキがかかった状態に見えますが、擦ると剥がれ、スパッタリング処理は金メッキ処理とはまた違う感じです。 ・凝った写真を撮影する人は、20〜30分この作業をするそうで、出来上がった試料は金の固まりになっているそうです。 ・金を使う理由: 電子顕微鏡では、一次電子が観測物に衝突した時、二次電子を多く放出する原子番号の大きい元素が良いそうで、金(Au:原子番号79番)を使うのだそうです。 |
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■試料完成 ・金色の味付けのりに見えているのがカーボン入り両面テープです。 ・上の小さい米粒が写真PX001のハムシの様な虫で、下のゴミの様なものが写真PX002の虫です。 ■この試料を電子顕微鏡本体横に突き出ている金属の筒にセットして観測します。 ■観測した画像ファイルはUSBでパソコンに取り込むことが出来、BMPファイルで保存できます。今回掲載した写真はJPGファイルに圧縮,縮小された写真です。 ○下に幾つか見せて頂いた試料を掲載します。 1.電子回路に使うオペアンプといわれるIC uPC452(上部切取り) 2.植物の葉,茎,種子など 3.赤血球 4.貝類 注:赤血球や貝類などの生体は一旦ホルマリンなどの薬品に漬けて、タンパク質を固め、乾燥させてからスパッタリング処理をするそうです。 |
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