アゲハチョウ福光村・昆虫記リスト種類別
チョウ1(鱗翅目:りんしもく/チョウ目) C1-1
タテハチョウC1-2
チョウ2
チョウ全般C1-3
チョウ3
チョウの卵,幼虫,蛹(さなぎ)C2
チョウ幼虫
アゲハチョウ科
 C005 ミヤマカラスアゲハ♂(アゲハチョウ科)[拡大1][拡大2  #C005−1 ミヤマカラスアゲハ♂(翅の裏側)
 撮影F:2003/08/18 温泉津町福光  民家Kそば裏山   撮影F:2003/08/18 温泉津町福光  民家Kそば裏山 
 山から染み出ている水に寄って来たアゲハ、翅は夏色みたいです。
開張78〜132mm、前翅長61〜72mm。幼虫はキハダ,カラスザンショウをよく食べます。♂は前翅に見られる黒い毛の様な帯が特徴
キハダ:山地に生える落葉高木です。樹皮はコルク層が発達していて、内樹皮は鮮やかな黄色で苦味があります。これは黄蘗(おうばく)と言い、漢方薬で健胃整腸薬として利用されています。
 C001 キアゲハ成虫T夏型♂(アゲハチョウ科)[拡大][観察  #C001−1 キアゲハ成虫T夏型♂ [拡大] 
 撮影F:2003/08/10 温泉津町福光  民家Kそば    撮影F:2003/08/10 温泉津町福光  民家Kそば  
 夏真っ盛りの空に向けて撮影、空の青さと黄色がマッチしています。開張70〜90mm,前翅長40〜66mm。幼虫はニンジンやパセリの葉,茎を食べます。ニンジン,パセリが大好きの様です。   チョウが止まって蜜を吸っている花は、アベリアと言います。
■アベリア:スイカズラ科>ツクバネウツギ属 和名:花園衝羽根空木(はなぞのつくばねうつぎ) 高さ2mの落葉低木で、花の期間が長く密集して茂みを作る為、植込みや垣根に使われています。
 C009 キアゲハ終齢幼虫T(5齢幼虫) [拡大] [観察  C009−3 キアゲハ蛹U(アゲハチョウ科)
 撮影F:2003/08/24 温泉津町福光  民家K家庭菜園    撮影C:2004/07/12  温泉津町福光  民家k庭
 家庭菜園のパセリの茎を食べています。キアゲハの幼虫はニンジンやパセリが大好きです。大きな芋虫です、拡大して見てはいけません!  今年は順調に蛹(さなぎ)になりました。病気とか鳥や、アオムシコバチの幼虫に食べられることがあって、羽化できないこともあるそうです。糸を引き始めて28時間経って、すっかりサナギの形になりました。脱皮した殻も付いていません。羽化はサナギから6〜11日ぐらいかかり、7月22日前後になると思います。成虫の写真は無理と思います。抜け殻だけでも撮影してもらいます。
(2004.07.20サナギから羽化までの日にち訂正)
 C009−4 キアゲハ成虫U夏型♀と抜け殻  C009−5 キアゲハ成虫U夏型♀(アゲハチョウ科)
 撮影C:2004/07/18早朝  温泉津町福光  民家k庭  撮影C:2004/07/18早朝  温泉津町福光  民家k庭
 今年は家庭菜園のパセリから無事成虫になりました。めでたしめでたし。下に写っているのが抜け出て空になったサナギです。セミなどは背中が割れて出てきますが、アゲハチョウは幼虫期の頭部前側の口当たりから割れて出てくるみたいです。撮影者によればこの下に後1個サナギが付いているそうです。しかし朝眠いので観察はしないそうです。  撮影者によれば18日の早朝サナギを確認しに菜園に行ったところ、すでに羽化していたそうです。夏型は全体が黒っぽいそうです。7月11日に終齢幼虫が糸を引き始め、7月12日にサナギになり6日で羽化したことになります。資料では10日前後と書かれていましたが、全然違いました。実際観察してみないと分らないものだと改めて思いました。
 C009−7 キアゲハ蛹V(アゲハチョウ科)  C009−8 キアゲハ成虫V♂(アゲハチョウ科)
 撮影C:2004/07/18  温泉津町福光  民家k庭  撮影C:2004/07/19早朝  温泉津町福光  民家k庭
 撮影者によれば家庭菜園のパセリに付いている2個目のサナギ(蛹V)だそうです。18日早朝この上に付いていたサナギ(蛹U)が羽化していたので、蛹Vもそろそろと思っていたところ、その翌日に羽化したそうです。この写真は羽化する6〜7時間前になります。蛹Vは、蛹Uに比べ部分的に黒く、同じパセリに付いていたサナギとは思えません。蛹Vはサナギになった時から蛹Uと色が違っていたそうです。以前サナギの色はツルツルした物に付いた時は緑色になり、ザラザラした物に付いた時は茶色になると書いた事がありますが、再度調べて見る必要が出てきました。  蛹Vから生まれた成虫Vです。成虫Uに比べ全体に黄色く、黒い部分がほとんど無いように見えます。裏,表の差があるにしても前翅裏の黒い部分がほとんど薄い黄色に見えます。(注:上の写真は横にしてあり、実際は縦にぶら下がっています。)
■キアゲハの色について図書館で調べてみました。
春型は黄色味が強く、夏型は春型より黒い部分が広くなって黒く見えるそうです。♂と♀の違いに関しては春型にはさほど差がないそうですが、夏型の♀は黄色部分がナミアゲハの様に薄くなるそうです。翅の裏側に関する記述はありませんでした。羽化したばかりの翅の色に関する記述も、どの本にもありませんでした。(参考にした図鑑:原色昆虫図鑑T コンパクト版 北隆館)
 #C009−14 キアゲハ(アゲハチョウ科)  #C009−15 キアゲハ(アゲハチョウ科)
 撮影F7:2005/08/22 温泉津町  撮影S10:2010/06/29 相模原市
 #C009−10 キアゲハ(アゲハチョウ科)  C017−2 ナミアゲハ夏型(アゲハチョウ科)
 撮影C:2007/05/15 大田市三瓶町 孫三瓶山頂上  撮影C:2005/06/15 浜田市国分町 石見海浜公園
 全体の印象はナミアゲハとキアゲハはよく似ています。しかし並べて見ると前翅前側(中室)の模様が全然違うことが分かります。
         キアゲハ              ナミアゲハ
 春型:開張65〜  mm、前翅長36〜46mm。
 夏型:開張  〜90mm、前翅長50〜60mm。
 普通に見られる大型のチョウで、単にアゲハと呼ばれています。全体は白色に近い黄色と、黒い紋が特徴です。写真は後翅の後ろ側に青や橙の紋がありませんから夏型です。夏型は全体に黒く、大型です。写真はアザミの花に止まっているところですが、夏はアザミやヒガンバナの花に集まり吸蜜します。春はツツジ類の花に集まります。幼虫はカラタチなどのミカン類や、サンショウ類の葉を食べます。
 C021 モンキアゲハ♂(アゲハチョウ科)   #C021−1 モンキアゲハ♂ [拡大1] [拡大2
 撮影F:2004/05/05  温泉津町福光  民家K  撮影F:2004/05/05  温泉津町福光  民家K
 春型開張100〜120mm、前翅長50〜62mm,夏型前翅長65〜87mm。玄関先のまいた水に寄ってきたところです。後翅の白っぽい黄色の紋が大きいですから、クロアゲハと区別できます。クロアゲハは横に細長いです。モンキアゲハとは変わった名前ですが、夏型は白い部分も黄色みがかってきますから、黄色い紋からこの名が付いているのだと思います。「断言」お尻が赤いからではありません。幼虫は、ミカン科のカラスザンショウ,ユズ,キハダの葉を食べます。 ■後翅の赤い模様が発達しているのが♀だそうです。
 C166 オナガアゲハ♀(アゲハチョウ科)  #C166 オナガアゲハ♀(アゲハチョウ科)
 撮影C:2007/06/09 邑智郡邑南町江尾 千丈渓  撮影C:2007/06/09 邑智郡邑南町江尾 千丈渓
 春型前翅長46〜60mm、夏型前翅長50〜68mm。クロアゲハに似ていますが、前翅,後翅とも細長く、尾状突起(びじょうとっき)が長いです。 ■♂と♀の違い:
 1.♂は後翅の表前縁に黄白斑があり、♀にはない
 2.♀は後翅の赤い三日月型の紋が翅表に連続して表れる
■食草:コクサギ,ツルシキミ,イヌザンショ,カラタチなど
 C100 クロアゲハ♀(アゲハチョウ科)  C027 アオスジアゲハ(アゲハチョウ科) [拡大
 撮影C:2005/08/01 温泉津町福光 撮影者庭  撮影C:2004/05/12  温泉津町福光  民家k庭
 開張80〜120mm、前翅長45〜70mm。♀の前翅は灰褐色で、黒い支脈が特徴的です。後翅は全体が黒色で、赤い紋のみあります。♂の後翅の前縁には黄白い斑があります。日陰を好み林の木陰沿いを飛び、♂は蝶道をつくります。成虫はツツジ,ユリの花などを吸蜜します。幼虫はカラスザンショウ,ミカン,カラタチ,ユズの葉を食べます。  開張53〜64mm、前翅長45〜46mm。翅全体が黒色より少し薄く、青緑の三角スジが幅ひろいですから春型です。夏型は春型に比べ大きく、全体に黒く、青いスジが細いです。地域によっては春型でも青いスジが細いものがいるそうです。写真では分りませんがスジは全てが青緑色ではなく、後翅の上端のスジは白に近いです。幼虫はクス,ヤブニッケイなどのクスノキ科の葉を食べます。春に2回,夏に1回、計年に3回羽化するそうです。
 #C027−1 アオスジアゲハ(アゲハチョウ科)  #C027−6 アオスジアゲハ(アゲハチョウ科)
 撮影C:2005/08/01 温泉津町福光 撮影者庭  撮影C:2006/06/21 温泉津町井田
 上の写真は夏型。左の写真は春型。 ■アオスジアゲハの幼虫
 C081 ギフチョウ(アゲハチョウ科>ウスバアゲハ亜科) [拡大  #C081−2 ギフチョウ(ウスバアゲハ亜科) 
 撮影X:2005/04/中旬 大田市 大江高山(おおえたかやま)  撮影C:2006/04/19 大田市 大江高山
★ギフチョウの写真は、2005.04月に大江高山を登山された、横田さんによって撮影されたものです。
 開張50〜60mm、前翅長28〜35mm。トラ模様のキアゲハ似の中型チョウです。模様から♂♀の判断は難しく、毛深いのが♂です。本種は山地の地形や気候など、ある条件がそろった場所だけに生息します。成虫はカタクリ,スミレ,サクラなどの花に集まり吸蜜します。成虫の期間は短く14日前後の命で、大江高山では毎年4月10日前後に♂が飛び始め、週遅れで♀が羽化し、5月始めには見れなくなります。
幼虫カンアオイ属の葉のみを食べます。よってカンアオイが生育する地域で、ある環境条件下の地域に限定されるため、分布している場所は少ないです。
 #C081−3 ギフチョウ(ウスバアゲハ亜科) [拡大  #C081−6 撮影C:2006/04/19 大江高山
 撮影C:2006/04/19 大田市 大江高山  撮影C:2006/04/19 大田市 大江高山
 交尾中を撮影。 右が毛深いです。
■図鑑にある♂♀の判断
1.♂は毛深く、♀は少ない(腹部背に生える毛)
2.♀の方が少し大きい
3.模様での判断は難しい


【チョウの資料】
◆チョウの変態(完全変態:卵>幼虫(1〜4,5齢)>蛹>成虫)
 チョウは卵から孵化(ふか)した時1齢、脱皮を繰り返す毎に1齢増えて4齢から5齢で終齢幼虫となります。アゲハチョウは5齢で終齢幼虫です。終齢幼虫とは蛹になる前に最後に脱皮した幼虫の姿のことです。終齢幼虫が成熟すると、動きが止まります。この状態を前蛹(ぜんよう)と言うそうです。数日後最後の脱皮をして蛹(さなぎ)になります。蛹の外観はあまり変化しませんが内部は急激に変化していて、やがて背が割れて羽化します。アゲハは卵から羽化まで約50日前後かかるそうです。蛹から成虫のチョウになる変態を脱皮と言わず羽化(うか)と言います。

◆チョウ・ガの区別

 区別の条件として昼間活動,夜行性,止まっている姿(チョウ:翅を上にしてを閉じて止まる,ガ:開いてぶらさがる),花の蜜を吸うなど色々言われていますが、特にガの方がチョウの特徴をもつものが数多くいます。一般的には触角で判断できます。チョウはマッチ棒の様に先に少しふくらみがあるものが多いです。ガは先端が細くなっているもの,沢山の毛のようなものに覆われて太いもの,ホタルガの様にくしの形をして平べったいもの、などがいます。あくまでも一般的な見方です。参考までにガは触角で♂の判断ができます。平べったいくし形,沢山の毛に覆われたものは♂で、♀のフェロモンを触角で感じるように広がっています。その種の♀は当然感じる必要ありませんから広がっていませんし、幅も小さいです。
鱗翅目(約20万種,その90%はガ)>
 ・アゲハチョウ,ギフチョウ,ウスバアゲハ
 ・シロチョウ,キチョウ
 ・タテハチョウ,タテハモドキ,オオムラサキ,ゴマダラチョウ
  イチモンジチョウ,ミスジチョウ,ヒョウモンチョウ,コノハチョウ
  マダラチョウ,テングチョウ
 ・ジャノメチョウ,コノマチョウ,ヒカゲチョウ
 ・シジミチョウ
 ・セセリチョウ
 ・ヤママユガ,オオミズアオ,イボタガ,カイコ,ヨナグニサン
 ・スズメガ,スカシバ,ホシホウジャク
 ・ヒトリガ,ドクガ,カレハガ,マイマイガ
 ・ヤガ,トラガ,キシタバ,ヨトウガ,シタバガ
 ・シャクガ,シャチホコガ,オビガ,フタオガ

 鱗翅目は名前が示すように翅や体が鱗粉で覆われています。口は長くストローのようになっています(口吻:こうふん)。普段は丸くまかれていますが、花の蜜を吸うとき伸ばします。完全変態の形態をとります。
■開張(かいちょう):左右の前翅を開いた時の端あら端までの長さ
 ○開張,×開帳,×開長
■前翅長(ぜんしちょう):前翅の付け根から前翅の先までの長さ
A(縦長のチョウ)  :開張≒(前翅長×1.5〜1.6) mm
 アオスジアゲハ,ジャコウアゲハ
B(横長のチョウ)  :開張≒(前翅長×1.8〜1.9) mm
 ガなど
C(少し横に長いチョウ):開張≒(前翅長×1.7〜1.8) mm
 種類として1番多い
D(正方形のチョウ):開張≒(前翅長×1.6〜1.7) mm
 タテハチョウ一部
注:計算式は種類によって胸部の幅がまちまちですから、目安です。

[注]撮影:又は撮影F:FUJIFILM FinePix−F410, 撮影C:OLYMPUS C−750UZoom, 撮影D:KONIKA MINOLTA DiMAGE−Z3

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